好きっていったら、困りますか


そんなこと言っても空気ポンプは返事をしてくれない。


はあとため息が溢れる。


結局、一言女将さんに断ってから、ポンプを持って一ノ瀬のところに戻った。



「空気ポンプあったよ」


そう言って一ノ瀬の目の前に置くと、一ノ瀬が振り返って来た。


その顔は真っ赤で、ふうと呼吸を整えていた。



「なんでそんな顔真っ赤なの」



「これ苦しいっ、いくら呼吸しても、息持たないよ」


浮き輪の方に目をやるとさっきとさほど大きさは変わっていない。


はあ


空気栓にポンプを繋げる。


俺と一ノ瀬が交互にポンプを押して空気を入れていく。




終わった頃にはすでに1時間も経過していた。



ぱんぱんになった浮き輪を見て達成感が込み上げてくるほど頑張った。


「私たち天才かも」



「まあ、頑張ったしな」





空気ポンプを海の家に返しようやく海に入れる。





ザブンッ


一ノ瀬が海にダイブした。



それに続き俺もダイブする。


真冬なのに海はそこまで冷たくなく、泳ぎやすい温度だった。



わっ


一ノ瀬が顔に水をかけて来た。