「また、会えますか?」
一瞬、言葉が出なかった。多分、私も同じことを思っていたちゃんからだ。
「……はい。また会いたいです」
私は小さく頷いてそう言った。そして、言ってしまってから、少しだけ恥ずかしくなった。けれど、湊は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、また連絡します」
「はい」
そう言って、私たちは別れた。
駅へ向かう人の流れに混ざりながら、私は何度か振り返りそうになったけど、結局振り返ることはなかった。
家に帰って、玄関のドアを閉める。
静かな部屋の中でスマートフォンを見ると、ちょうど一件の通知が届いた。
『湊:今日はありがとう。ちゃんと帰れた?』
思わず笑ってしまった。
『雫:帰れたよ。湊さんも?』
そう送ると、すぐに既読がついた。
『湊:今着いたところ』
『雫:そっか。今日は楽しかった』
『湊:俺も』
短いやり取りだった。それなのに、スマートフォンを伏せた後も、胸の中にはさっきまでの時間が残っていた。
初めて会った人なのに、不思議なくらい疲れていない。むしろ、もう少し話していたかったと思う。
私はソファに座りながら、今日のことをゆっくり思い返した。
帽子を深く被って、眼鏡をかけていた湊の顔。店で笑っていた顔。私の話を聞いてくれた時の表情。そして、別れ際に「また会えますか」と聞いてくれた声。まだ何も始まってない。それでも、もう一度会いたいと思った。
その気持ちだけは、今の私にも、はっきりと分かっていた。
それから、湊とは少しずつ会う回数が増えていった。
二度目にあったのは、その二週間ほどあとだった。一度目のときよりも待ち合わせの時間は遅く、仕事を終えてから駅で落ち合った。最初に会ったときは、どこかよそよそしかった湊も、その日は私を見つけるなり軽く手を上げて、「お疲れ様です」と笑った。その仕草があまりにも自然で、私は思わず笑い返していた。あの日以来、メッセージの中だけはなく、こうして実際に顔を合わせることにも少しずつ慣れてきている自分に気づく。
最初は何話そうかと考えていたのに、その日は仕事であったことを話しているうちに、いつの間にか一時間が過ぎていた。
一瞬、言葉が出なかった。多分、私も同じことを思っていたちゃんからだ。
「……はい。また会いたいです」
私は小さく頷いてそう言った。そして、言ってしまってから、少しだけ恥ずかしくなった。けれど、湊は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、また連絡します」
「はい」
そう言って、私たちは別れた。
駅へ向かう人の流れに混ざりながら、私は何度か振り返りそうになったけど、結局振り返ることはなかった。
家に帰って、玄関のドアを閉める。
静かな部屋の中でスマートフォンを見ると、ちょうど一件の通知が届いた。
『湊:今日はありがとう。ちゃんと帰れた?』
思わず笑ってしまった。
『雫:帰れたよ。湊さんも?』
そう送ると、すぐに既読がついた。
『湊:今着いたところ』
『雫:そっか。今日は楽しかった』
『湊:俺も』
短いやり取りだった。それなのに、スマートフォンを伏せた後も、胸の中にはさっきまでの時間が残っていた。
初めて会った人なのに、不思議なくらい疲れていない。むしろ、もう少し話していたかったと思う。
私はソファに座りながら、今日のことをゆっくり思い返した。
帽子を深く被って、眼鏡をかけていた湊の顔。店で笑っていた顔。私の話を聞いてくれた時の表情。そして、別れ際に「また会えますか」と聞いてくれた声。まだ何も始まってない。それでも、もう一度会いたいと思った。
その気持ちだけは、今の私にも、はっきりと分かっていた。
それから、湊とは少しずつ会う回数が増えていった。
二度目にあったのは、その二週間ほどあとだった。一度目のときよりも待ち合わせの時間は遅く、仕事を終えてから駅で落ち合った。最初に会ったときは、どこかよそよそしかった湊も、その日は私を見つけるなり軽く手を上げて、「お疲れ様です」と笑った。その仕草があまりにも自然で、私は思わず笑い返していた。あの日以来、メッセージの中だけはなく、こうして実際に顔を合わせることにも少しずつ慣れてきている自分に気づく。
最初は何話そうかと考えていたのに、その日は仕事であったことを話しているうちに、いつの間にか一時間が過ぎていた。


