学校の完璧4人アイドルには、秘密の顔がある。

「……え?」

黒板に貼り出された新しい席順を見て、私は固まった。

「白石、美桜……」

自分の名前を探して。

見つけた瞬間。

「……うそ」

思わず声が漏れた。

私の席は――

教室の中央。

しかも。

「一ノ瀬くん……?」

右隣には、一ノ瀬蓮。

「黒崎くん……?」

斜め前には、黒崎朔。

「瀬戸くんまで……」

斜め後ろには、瀬戸陽向。

そして。

「……九条くん?」

左隣には、九条玲央。

……待って。

これ。

どういうこと?

「美桜ちゃん、すごくない!?」

後ろから友達の彩花が駆け寄ってきた。

「四大アイドルに囲まれてるじゃん!」

「いや、囲まれてるって言い方やめて……」

「だってそうじゃん!」

彩花は楽しそうに笑っている。

「羨ましい〜!」

「私は普通に緊張するんだけど……」

そう言いながら席に向かう。

すると――

「白石さん」

「……はい?」

声をかけてきたのは、一ノ瀬くんだった。

相変わらず、学校中の女子が憧れるような完璧な笑顔。

「今日から隣だね。よろしく」

「よ、よろしくお願いします……」

「そんなに緊張しなくていいよ?」

「してないです!」

「してるよ?」

くすっと笑われる。

……この人。

距離感近くない?

「美桜ちゃん、よろしく!」

今度は後ろから瀬戸くん。

「えっと……瀬戸くんも、よろしく」

「うん!」

眩しい。

笑顔が眩しすぎる。

「……よろしく」

「黒崎くんも……」

「ん」

短い。

以上。

「……」

「……」

気まずい。

と思ったら。

「白石さん」

左から声がした。

「はい?」

九条くんがこちらを見ている。

「その消しゴム」

「え?」

「可愛いね」

「……え?」

突然すぎて理解が追いつかない。

「それ、猫?」

「あ、うん。そうだけど……」

「そうなんだ」

「……」

「可愛い」

「……ありがとう?」

何なんだろう、この人。

「九条、それ昨日も言ってたぞ」

黒崎くんが淡々と言った。

「そうだった?」

「言ってた」

「じゃあ、今日も可愛いってことで」

「どういうこと!?」

思わずツッコんでしまった。

その瞬間。

「……ふっ」

黒崎くんが笑った。

「え?」

「いや」

「今、笑った?」

「笑ってない」

「絶対笑った!」

「気のせい」

「……」

なんだろう。

思っていたより――

普通の人たちなのかもしれない。

学校では、誰もが憧れる四大アイドル。

でも。

こうして話してみると。

意外と普通に話せる。

……いや。

九条くんはちょっと不思議だけど。