学校の完璧4人アイドルには、秘密の顔がある。

「ねぇ、美桜! 今日も見た?」

朝、教室に入った瞬間。

親友の彩花が、私の机まで駆け寄ってきた。

「…何を?」

「何って、四大アイドル!!」

「またその話?」

私は呆れながら鞄を机の横にかける。


四大アイドル。

それは、この学校に通う女子なら誰もが知っている、四人の男子のこと。


一人目。

「一ノ瀬くん、今日もかっこいい…!」

教室の前を通っただけで、女子たちの視線を一斉に集める男子。

一ノ瀬蓮。

成績優秀、運動神経抜群。

生徒会にも所属していて、誰にでも優しい。

まさに、学校の王子様。

「おはよう」

廊下ですれ違った女子に、爽やかな笑顔を向ける。

「お、おはようございます…!」

女子が真っ赤になる。

…うん。

今日も通常運転。


二人目。

「黒崎くん、いた!」

「どこ!?」

「廊下!」

窓際を歩いているのは、黒崎朔。

無口で、クール。

長身で、運動もできる。

必要なこと以外はほとんど喋らない。

それなのに、そのミステリアスさが女子にはたまらないらしい。

「黒崎くんって、絶対彼女いないよね」

「いてもおかしくないけど…」

「むしろいてほしくない!」

そんな声が聞こえてくる。


三人目。

「陽向ー! こっち来て!」

「おー! 今行く!」

教室の中央で、男子たちと笑い合っているのは瀬戸陽向。

明るくて、運動神経抜群。

誰とでも仲良くなれる、学校一のムードメーカー。

「陽向くんって本当に人気者だよね」

「先生からも好かれてるし」

「性格いいもんね」


そして最後。

窓際の席で、一人静かに本を読んでいる男子。

九条玲央。

成績優秀。

整った顔立ち。

静かで、何を考えているのかわからない。

「九条くん、今日も綺麗…」

「なんか芸能人みたい」

「話しかけてみたいけど、緊張する…」


この四人が、この学校のーー

「四大アイドル」。

私は頬杖をつきながら、ぼんやり四人を眺めた。

「…すごいよね」

「でしょ!?」

彩花が勢いよく食いついてくる。

「蓮くんは王子様、朔くんはクール、陽向くんは明るい人気者、玲央くんはミステリアス! 四人ともタイプ違うのに全員かっこいいんだよ!」

「へぇー」

「興味なさそう!」

「だって、私には関係ないし」


本当にそう思っていた。

四人は、私とは住む世界が違う。

私は普通の高校ニ年生。

成績も普通。

運動も普通。

特別可愛いわけでもない。

もちろん、恋人もいない。

だから。

学校中の女子から注目されている四人と、私が関わることなんてーー

絶対にない!!

そう思っていた。

この時までは。