初対面でこんな事言われたら、、②
葉山さんは、見るものすべてに目を輝かせて質問してきた。
「このカウンター、どうやって切ったんですか?」
「この扉の金具って、どうやって付けたんですか?」
「こういうのを作るには、どんな道具を使えばいいんですか?」
頭の中は、そんなことでいっぱいだった。
大山さんは、その一つひとつに丁寧に答えている。
葉山さんの好奇心が一旦落ち着いたところで、俺は声を掛けた。
「お茶にしましょう」
玄関ポーチに簡易椅子を一つ置き、先にポーチの段差へ腰を下ろして二人を待った。
「大山さーん!」
「お茶ですよーー!」
いつもなら、一服したくて真っ先に俺へ声を掛けてくる大山さん。
なのに今日は、全然来ない。
……なんだよ。
楽しそうにしている二人を見て、内心ちょっと嫉妬していた。
「まだ来ない……」
「もう、一服しましょっと」
そう声を掛けながら作業場へ戻ると――
「あ……」
思わず声が出た。
「あ……大山さん……ごめん。先、一服してるわ」
「ごめんって……何だよ笑」
自分でも何に対して謝っているのか分からない。
俺はその場をすぐに離れた。
大山さんが葉山さんを後ろから抱えるように支え、葉山さんが右手に持ったノコギリの使い方を教えていた。
別に、変なことじゃない。
ただ、切り方を教えているだけだ。
分かっている。
分かっているんだけど――
後ろからその光景を見た瞬間、
「見ちゃいけないものを見てしまった」
そんな妙な申し訳なさが、言葉になる前の「あ……」になって出てしまったのだ。
二人も、とっさに気まずさを感じたのか手を離した。
「あ……すみません」
大山さんが少し慌てたように言う。
「いま、ちょうど切り方を教えてて……」
そう言いながら、二人がこちらへ歩いてくる。
少し気まずい空気から始まった一服だった。
……はずなのに。
その空気は、あっという間に楽しいものへ変わっていった。
葉山さんの気遣いと会話力。
場の空気を変えるって、こういうことなんだな。
そんなことを、妙に実感していた。
俺は48歳。
大山さん54歳。
葉山さん51歳。
50代あるあるを、二人が楽しそうに共有している。
「もう少しで仲間に入れるね」
なんて、俺をネタにして二人で笑っている。
家が二軒先だということ。
シングルマザーで、社会人の娘さんがいること。
そして――
「好きなタイプは昔から森田剛です笑」
なんて話まで。
気がつけば、かなり盛り上がっていた。
「もー、大山さん」
俺は笑いながら立ち上がった。
「終わらなくなるから、やるよ」
楽しかった。
楽しかったけど……
このまま楽しさに負けそうだったので、仕事に戻ることにした。
葉山さんも、
「私もいい加減、お邪魔ですよね」
と笑いながら、帰り支度を始めた。
俺は、棚を取り付けるには下地が必要なことや、使う塗料のことを説明した。
そして、
「自宅に帰ったら、写真と採寸をお願いします」
と伝えた。
大山さんの計らいで、余っていた材料を提供してあげることになったからだ。
「えー! ありがとうございます!」
葉山さんが嬉しそうに笑う。
そして、少し不安そうな顔で、
「また、お邪魔してもいいですか?」
と聞いてきた。
すると――
「是非是非!」
俺より先に、大山さんが答えた。
…………。
俺の現場なのに。
葉山さんは、見るものすべてに目を輝かせて質問してきた。
「このカウンター、どうやって切ったんですか?」
「この扉の金具って、どうやって付けたんですか?」
「こういうのを作るには、どんな道具を使えばいいんですか?」
頭の中は、そんなことでいっぱいだった。
大山さんは、その一つひとつに丁寧に答えている。
葉山さんの好奇心が一旦落ち着いたところで、俺は声を掛けた。
「お茶にしましょう」
玄関ポーチに簡易椅子を一つ置き、先にポーチの段差へ腰を下ろして二人を待った。
「大山さーん!」
「お茶ですよーー!」
いつもなら、一服したくて真っ先に俺へ声を掛けてくる大山さん。
なのに今日は、全然来ない。
……なんだよ。
楽しそうにしている二人を見て、内心ちょっと嫉妬していた。
「まだ来ない……」
「もう、一服しましょっと」
そう声を掛けながら作業場へ戻ると――
「あ……」
思わず声が出た。
「あ……大山さん……ごめん。先、一服してるわ」
「ごめんって……何だよ笑」
自分でも何に対して謝っているのか分からない。
俺はその場をすぐに離れた。
大山さんが葉山さんを後ろから抱えるように支え、葉山さんが右手に持ったノコギリの使い方を教えていた。
別に、変なことじゃない。
ただ、切り方を教えているだけだ。
分かっている。
分かっているんだけど――
後ろからその光景を見た瞬間、
「見ちゃいけないものを見てしまった」
そんな妙な申し訳なさが、言葉になる前の「あ……」になって出てしまったのだ。
二人も、とっさに気まずさを感じたのか手を離した。
「あ……すみません」
大山さんが少し慌てたように言う。
「いま、ちょうど切り方を教えてて……」
そう言いながら、二人がこちらへ歩いてくる。
少し気まずい空気から始まった一服だった。
……はずなのに。
その空気は、あっという間に楽しいものへ変わっていった。
葉山さんの気遣いと会話力。
場の空気を変えるって、こういうことなんだな。
そんなことを、妙に実感していた。
俺は48歳。
大山さん54歳。
葉山さん51歳。
50代あるあるを、二人が楽しそうに共有している。
「もう少しで仲間に入れるね」
なんて、俺をネタにして二人で笑っている。
家が二軒先だということ。
シングルマザーで、社会人の娘さんがいること。
そして――
「好きなタイプは昔から森田剛です笑」
なんて話まで。
気がつけば、かなり盛り上がっていた。
「もー、大山さん」
俺は笑いながら立ち上がった。
「終わらなくなるから、やるよ」
楽しかった。
楽しかったけど……
このまま楽しさに負けそうだったので、仕事に戻ることにした。
葉山さんも、
「私もいい加減、お邪魔ですよね」
と笑いながら、帰り支度を始めた。
俺は、棚を取り付けるには下地が必要なことや、使う塗料のことを説明した。
そして、
「自宅に帰ったら、写真と採寸をお願いします」
と伝えた。
大山さんの計らいで、余っていた材料を提供してあげることになったからだ。
「えー! ありがとうございます!」
葉山さんが嬉しそうに笑う。
そして、少し不安そうな顔で、
「また、お邪魔してもいいですか?」
と聞いてきた。
すると――
「是非是非!」
俺より先に、大山さんが答えた。
…………。
俺の現場なのに。



