嗚呼、愛しのアフロディーテ

放課後の裏庭は人気(ひとけ)も少なく、日当たりも悪いのでじめっとしていた。

いつも一緒に帰っている友達のマミちゃんには先に帰ってもらい、私はぽつんと置かれてある鉄製のベンチに腰掛けて坂本くんを待つ。


遠くから運動部の掛け声が聞こえてきたところで、坂本くんが早足で私の前までやって来た。


「すみません……HRが長引いてしまって」
「ううん、大丈夫。そんなに待ってないよ」


立ち上がって向き合うと、坂本くんはすかさず一定の距離を取る。ちょうど人ふたり分くらい。

特に気にせず、私は肩にかけている鞄をかけ直して早速話題を手紙の件へと促した。


「ところで、何か用かな……?」
「あ、はい……」


坂本くんは両手でリュックの肩紐をギュッと握る。

ぼさぼさの髪の隙間から見える耳が、少しだけ赤くなっているように見えた。


これは、もしかして、もしかしなくても。
……告白、なのでは?


「今日、柊さんを呼び出したのは話があって」
「うん……」


でも、告白されたとしても、なんて返事しよう。

好きな人は今いないし、だからといって恋愛的な意味合いでみたことがない坂本くんととりあえず付き合う、っていうのも失礼だし……。