放課後。
ホームルームが終わると、蒼空が私の机の前に立った。
「美月、今日どうする?」
「一緒に帰る!」
「即答じゃん」
「当たり前でしょ」
蒼空が笑う。
「俺、今日委員会あるんだけど」
その言葉を聞いた瞬間、心臓が小さく跳ねた。
あの日と同じ言葉。
蒼空と帰らなかった日。
けれど、今日は違う。
今日は7月18日。
明日じゃない。
私は蒼空の顔を見つめた。
「……じゃあ、終わるまで待ってる」
蒼空は少し驚いたように目を丸くした。
「待っててくれるの?」
「うん。一緒に帰りたいもん」
「そっか」
蒼空は優しく笑った。
「じゃあ、なるべく早く終わらせる」
「うん!」
そのとき、陸が後ろから声をかけてきた。
「蒼空ー!今日委員会終わったらゲーセン行かね?」
「あー、ごめん。今日は美月と帰る」
「はいはい、ごちそうさま」
「うるせえ」
陸は笑いながら、莉子のほうを向いた。
「じゃ莉子、俺ら一緒に帰るか」
「何その仕方なさそうな感じ。むかつく。
美月、また明日ね!」
「うん、また明日!」
二人が教室を出ていく。
蒼空は私の頭を軽く撫でた。
「じゃあ、ちょっと待ってて」
「いってらっしゃい」
蒼空が教室を出ていく。
私はその背中を見送りながら、ふと思った。
明日も、こうして見送れるだろうか。
いや。
見送れる。
絶対に。
私は何度も自分に言い聞かせた。

