「美月、おはよ」
家を出ると、蒼空がいつもの場所で待っていた。
「おはよー!」
「今日、寝癖すごいよ」
「えっ、うそ!」
慌てて髪を押さえると、蒼空が吹き出した。
「うそ。ちょっとだけ」
「もう!びっくりしたじゃん!」
「かわいかったから、つい」
「……そういうの禁止!」
「なんでだよ」
笑いながら、蒼空が私の手を取る。
何度も歩いた通学路。
何度も見た景色。
何度も聞いた、蒼空の声。
だけど、私は知っている。
この何気ない時間が、どれだけ大切なのかを。
だから今日は、いつもより少しだけ、蒼空の手を強く握った。
「ん?どうした?」
「なんでもない」
「変なの」
蒼空は笑って、私の頭をぽんと撫でた。

