教室に入ると、陸が机に突っ伏していた。
「おーい、陸。死んでんの?」
蒼空が声をかける。
「……眠い」
「昨日、何時までゲームしてたんだよ」
「二時」
「バカじゃん」
「お前も付き合ってただろ!」
「俺はちゃんと寝たし」
「うそつけ!」
二人のやり取りに、莉子が吹き出した。
「ほんと男子って子どもだよね」
「莉子、それ俺も含まれてる?」
「もちろん」
「ひどくない?」
私は笑いながら席に座った。
すると、陸が急に顔を上げる。
「そうだ!海の日、何時集合にする?」
「え、もう決めるの?」
莉子が聞いた。
「早いほうがいっぱい遊べるじゃん」
「確かに!」
私は思わず身を乗り出した。
「朝から行こうよ!海で遊んで、お昼食べて、夕方までいて!」
「美月、元気すぎ」
蒼空が笑う。
「だって楽しみなんだもん!」
「じゃあ、九時に駅集合とか?」
莉子の提案に、陸がうなずく。
「いいじゃん。俺、浮き輪持ってくわ」
「サメのやつ?」
「そう。あれ、めっちゃ目立つんだよ」
「絶対写真撮ろうね!」
四人でスマホを取り出し、予定を確認する。
集合時間、持ち物、お昼ご飯。
たったそれだけの話なのに、どうしてこんなに楽しいんだろう。
今年の夏は、きっと楽しい。
ううん。絶対楽しい思い出を作る。
そう思った。

