玄関を出た瞬間、いつもの聞き慣れた声が飛んできた。
「おはよ。今日、早くない?」
「美月が遅いんだよ」
「え、まだいつもの時間だけど?」
「俺が早く来ただけ」
そう言って笑う蒼空の手には、コンビニの袋があった。
「はい」
差し出されたのは、いちごミルク。
「えっ、買ってくれたの?」
「飲みたいって言ってたじゃん」
「覚えてたんだ!」
「そりゃ覚えてるでしょ」
なんでもないように言うから、こっちまで笑ってしまう。
こういうところが、ずるい。
私が何気なく口にしたことを、蒼空は意外と覚えている。
そして、忘れた頃にこうやって叶えてくれるのだ。
「ありがと!」

