昼休み。
「美月、こっちこっち!」
莉子に呼ばれて、私はお弁当を持って駆け寄った。
「今日のおかずなに?」
「卵焼き!」
「一個ちょうだい!」
「いいよ!」
卵焼きを差し出すと、莉子は嬉しそうに頬張った。
「んー! おいしい!」
「ほんと?」
「うん! お母さんの?」
「そう!」
「いいなあ。うちも卵焼き作ってくれないかなあ」
そんな話をしていると、蒼空が隣に座った。
「なに食べてんの?」
「卵焼き!」
「へえ」
蒼空が私のお弁当を覗き込む。
「……一個ちょうだい」
「えー、自分のお弁当あるじゃん!」
「いいだろ」
「じゃあ、交換ね!はい、卵焼き!」
蒼空は卵焼きを食べて、満足そうに頷いた。
「うまい」
「でしょ!」
「唐揚げ食べていいぞ」
「やった!」
莉子がそんな私たちを見て、深いため息をついた。
「……ねえ、私ここにいるんだけど」
「え?」
「二人の世界に入らないでくれる?」
「入ってないよ!」
「はいはい」
莉子は笑いながら、私のお弁当からミニトマトを取った。
「あっ、莉子!それ最後の!」
「お返しでーす」
「もう!」
三人で笑い合う。
こんな昼休みが、私は好きだった。

