「ねえ、蒼空」
「ん?」
「今日の数学の宿題やった?」
「やったよ」
「ええっ!?」
思わず立ち止まる。
「昨日、やってないって言ってたじゃん!」
「夜にやった」
「ずるい! 私、途中までしかできてない!」
蒼空がにやにやしながら私を見る。
「嘘つき。ねえ、あとで見せて!」
「自分でやれ」
「蒼空ー!」
「しょうがないな。休み時間な」
「やった!」
私は嬉しくなって、蒼空の腕にぎゅっとしがみついた。
「大好き!」
「随分安い『大好き』だな」
そんな言葉とは裏腹に、蒼空が少しだけ顔を赤くする。
「……学校でそういうこと言うなよ」
「えー? なんで?」
「なんでも」
「照れてるの?」
「照れてない」
「絶対照れてる!」
蒼空は私から顔をそらした。
その耳が赤くなっているのを見て、私は思わず笑ってしまった。

