お墓参りを終えたあと、私は実家に立ち寄った。
蒼空との思い出の品を、久しぶりに整理しようと思ったからだ。
机の引き出しには、二人で撮った写真や、文化祭のときに書いたメモ、海で拾った小さな貝殻が入っていた。
一つ一つ手に取るたびに、あの日の記憶が蘇る。
四人で笑った昼休み。
蒼空と二人で歩いた帰り道。
海辺で交わした約束。
私は小さく笑った。
「……本当に、いっぱい思い出があるね」
そのときだった。
写真アルバムの箱の奥に、見慣れない封筒があることに気づいた。
白い封筒。
表には、見覚えのある文字が書かれていた。
『美月へ』
「……え?」
指先が震えた。
何度も見たことのある文字。
少し右上がりで、最後の文字がいつも小さくなる。
間違いない。
蒼空の字だった。
私は封筒を両手で握りしめた。
裏には、何も書かれていなかった。
ただ、封がされたままになっている。
こんなものがあったなんて。
知らなかった。
蒼空が、私に手紙を残していたなんて。
私はゆっくりと封を開けた。
中には、何枚かの便箋が入っていた。
そして、一番上の紙に書かれた日付を見て、息が止まった。
7月10日。
蒼空が亡くなる、9日前。
私はその場に座り込んだ。
「……蒼空」
震える手で、手紙を開いた。

