蒼空がいなくなってから、一年が経った。 蝉の声が響く、暑い夏の日だった。 私は黒いワンピースに着替え、鞄に一つの腕時計を入れた。 蒼空の腕時計。 蒼空の時計は、あの日からずっと午後五時三十七分で止まったままだ。 何度も直そうと思った。 でも、できなかった。 あの時計が止まった時間は、私にとって蒼空と過ごした最後の時間だから。 「……行ってくるね、蒼空」 誰もいない部屋で、私は小さく呟いた。