教室に着くと、莉子(りこ)が私の席にやってきた。
「美月、おはよ!」
「おはよう、莉子」
「……って、え!? どうしたの、その顔!」
「え?」
「目、真っ赤じゃん! 寝不足?」
私は苦笑いした。
「ちょっと、ね」
「もしかして、蒼空くんとなんかあった?」
「な、なんで!?」
「え、図星?」
「違うってば!」
莉子は、楽しそうに笑った。
その笑顔を見て、胸の奥がじんわりと熱くなった。
いつも通りの教室。
いつも通りの朝。
隣の席には、蒼空がいる。
昨日まで当たり前だった光景が、今は奇跡みたいに思えた。
だって、私は知っている。
この日常が、あと七日で終わってしまうことを。
君の笑顔も。
君の声も。
隣にいる、この温もりも。
全部、失ってしまうことを。
だからこそ。
今度こそ、後悔しないようにしよう。
言いたいことは、ちゃんと言おう。
好きだと思ったら、好きだと伝えよう。
会いたいと思ったら、会いに行こう。
もう二度と、大切な人に言えなかった言葉を残したくない。

