救急車のサイレンが、遠くから聞こえた。
蒼空は私の腕の中で、浅い呼吸を繰り返していた。
「……美月」
「ここにいるよ!ずっといるから!」
「……よかった」
「何が……?」
蒼空はゆっくりと目を開けた。
その瞳が、私をまっすぐ見つめる。
「……事故に、遭わせなくて」
私は息を呑んだ。
彼は、私を守ろうとしていた。
何度も。
どんな時間でも。
どんな未来でも。
自分の命より、私を守ることを選んでしまう。
「……違うよ」
私は首を振った。
「私は、蒼空と一緒に生きたいの……!」
涙が彼の頬に落ちる。
「守られるだけじゃ嫌なの!蒼空と一緒に、これからも生きていきたい!」
蒼空の目が、ゆっくりと細くなった。
「……うん」
小さな声。
「俺も……」
彼は私の手を握り返そうとした。
けれど、その指先から力が抜けていく。

