学校に着くと、昇降口の前に蒼空が立っていた。
「美月!」
私を見つけるなり、彼が手を振る。
その姿を見ただけで、涙が出そうになった。
何度も失った人が、今、目の前にいる。
「おはよう、蒼空」
「おはよう。……って、おい。なんで泣きそうなんだよ」
「泣いてない!」
「いや、絶対泣いてるだろ」
蒼空が私の顔を覗き込む。
私は慌てて顔を背けた。
「だって……今日、蒼空が隣にいるのが嬉しいんだもん」
そう言うと、蒼空は一瞬だけ目を丸くした。
それから、困ったように笑った。
「……そっか」
彼は私の頭をぽん、と優しく撫でる。
「俺も嬉しいよ」
その言葉が、何よりも嬉しかった。
教室に入ると、莉子と陸がいつもの席で話していた。
「おはよー! 美月、蒼空!」
莉子が手を振る。
「おはよう!」
「おはよ。今日、なんか二人とも仲良くない?」
陸がニヤニヤしながら言った。
「いつもだろ」
蒼空が即答する。
「うわ、言ったよこいつ!」
「陸、うるさい」
「はいはい、ごちそうさまです!」
四人で笑う。
いつもと変わらない朝。
いつもと変わらない教室。
なのに、私はその一瞬一瞬が、たまらなく愛おしかった。

