「……蒼空」
「何回も、ひとりで怖かったんだろ」
私は頷いた。
「……うん」
蒼空は、私の頭を優しく撫でた。
「もう、ひとりで抱えなくていい」
その言葉を聞いて、私はまた泣いた。
今まで、誰にも言えなかった。
莉子にも、陸にも。
何度も蒼空を失ったことを、誰にも話せなかった。
でも、今は違う。
蒼空が知ってくれた。
私が何度も苦しんできたことを。
私がどれだけ蒼空を大切に思っているかを。
「……ありがとう」
私が言うと、蒼空は少し笑った。
「こっちのセリフだろ」
「……え?」
「話してくれて、ありがとう」
蒼空は私の手を握ったまま、空を見上げた。
夕焼けが、ゆっくりと夜の色に変わっていく。
「……なあ、美月」
「なに?」
「俺、明日も生きてるよな?」
胸が締めつけられた。
私は何度も頷いた。
「……うん」
「明日も、一緒に学校行けるよな?」
「……うん」
「じゃあ、明日も一緒に帰ろう」
私は涙を拭って笑った。
「……うん」
蒼空も笑った。
「約束な」
「約束」
小指を絡める。
いつもと同じ、何でもない約束。
でも、今度は違う。
私たちは初めて、同じ未来を見ようとしていた。
家に帰ると、私は机の上に時計を置いた。

