「最初は夢だと思った。でも、全部覚えてた。蒼空が死んじゃったことも、みんなと過ごした時間も」
私は顔を上げた。
「だから、今度こそ助けようと思った」
「……」
「事故が起きる場所を避けた。蒼空と一緒にいた。絶対にひとりにしないようにした」
涙が止まらなかった。
「でも、何をしても、蒼空は私をかばって死んじゃうの」
蒼空の顔が、青ざめていく。
「別の場所でも、違う事故でも……何度やり直しても、蒼空は私を守ろうとする」
私は震える手で、蒼空の腕を掴んだ。
「……もう、嫌なの」
声がかすれた。
「もう、蒼空が死んじゃうところなんて見たくない」
蒼空は、ずっと黙っていた。
私は続けた。
「だから、病気のことも知りたかった。蒼空が何を隠しているのか、どうしたら助けられるのか、ずっと考えてた」
「……」
「今回こそ、助けたいの」
私は蒼空を見つめた。
「7月19日を越えて、一緒に生きたい」
言い終わった瞬間、声を上げて泣いてしまった。
もう、何も隠せなかった。
何度も繰り返してきた時間。
何度も失った、大好きな人。
その全部を、初めて蒼空に伝えた。

