蒼空の表情が止まった。
私は息を吸った。
「……一回じゃない」
涙が、頬を伝う。
「何回も」
蒼空は何も言わなかった。
「最初は、何が起きたのかわからなかった。その日蒼空は委員会終わりで1人で帰ってて、信号のところで車が突っ込んできて……その後は蒼空を助けようと思って」
言葉が途切れた。
あの瞬間が、目の前に蘇る。
強く抱きしめられたこと。
そして、地面に倒れた蒼空の姿。
「蒼空が 、私をかばってくれたの」
私は涙を拭った。
「私のことを守って……蒼空は、死んじゃった」
蒼空の手が、わずかに動いた。
「……美月」
「それで、目が覚めたら7月12日だった」
蒼空は黙っていた。

