どれくらい、そうしていただろう。
「……落ち着いた?」
蒼空が、そっと私の顔を覗き込んだ。
私は小さく頷く。
「うん……ごめんね」
「いや、別にいいけど」
そう言って、蒼空は笑った。
「なんか、怖い夢でも見た?」
私は、思わず息を止めた。
怖い夢。
そうだ。
そういうことにしておけばいい。
君が死んだことも。
君の葬儀に出たことも。
君に二度と会えないと思っていたことも。
全部、夢だったことに。
「……うん」
私は俯いた。
「蒼空が、いなくなる夢」
嘘じゃなかった。
だって、あれは夢なんかじゃない。
私が実際に経験したことだから。
「……そっか」
蒼空の声が、少しだけ低くなった。
「怖かったな」
そう言って、君は私の頭を撫でた。
優しく。
何度も。
「大丈夫だよ」
その言葉を聞いた瞬間、胸が苦しくなった。
大丈夫じゃない。
だって、私は知っている。
君が死ぬことを。
私は、蒼空の制服の袖をぎゅっと掴んだ。

