夕方の風が、二人の間を吹き抜けた。
「……え?」
「俺に言えないこと?病気の事打ち明けたからかと思ったけど、思い返せばそれより前からだった」
蒼空は、私から目を逸らさなかった。
「美月、最近、すごく悲しそうな顔するんだよ」
「……」
蒼空は困ったように笑った。
「俺、そんなに信用ない?」
「違う!」
思わず声が大きくなった。
蒼空が驚いて目を見開く。
私は慌てて俯いた。
「……違うの」
「……うん」
「蒼空のこと、信用してないわけじゃない」
「じゃあ、なんで?」
言えなかった。
言っていいのかわからなかった。
時間が戻っていること。
蒼空が何度も死んでしまったこと。
そんなことを話したら、蒼空は信じてくれるだろうか。
それとも、私がおかしくなったと思うだろうか。
「……美月」
蒼空が私の手を握った。
「俺に話せないことなら、無理に言わなくていい」
「……」
「でも、ひとりで抱え込まないでほしい。美月もそう言ってくれたじゃん」
その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れた。

