思わず笑ってしまった。
何度も繰り返してきた7月16日。
でも、今日は少しだけ楽しみだった。
蒼空が私をどこかに連れて行ってくれる。
それだけで、今日という日が特別に思えた。
「で、どこに連れて行ってくれるの?」
放課後、校門の前で蒼空に尋ねた。
「だから秘密だって」
「教えてよ」
「着いたらわかる」
蒼空は楽しそうに笑った。
その笑顔を見て、私はふと思った。
こんなふうに、蒼空と普通に出かけるのはいつぶりだろう。
何度も7月19日を繰り返しているうちに、私はいつの間にか、蒼空と過ごす時間を「失わないための時間」にしてしまっていた。
事故を避けること。
病気を悪化させないこと。
蒼空をひとりにしないこと。
もちろん、それは今でも変わらない。
でも。
蒼空と笑っていたい。
蒼空とくだらない話をしたい。
蒼空と、普通の高校生みたいな恋愛がしたい。
そんな当たり前の願いを、私はいつの間にか忘れかけていた。

