放課後、私たちは駅前のゲームセンターに向かった。
「よっしゃ! 今日は俺が勝つ!」
陸が意気込んで、クレーンゲームの前に立つ。
「前もそれ言って、千円使って取れなかったじゃん」
莉子が笑う。
「今日は違う!」
「はいはい」
蒼空も楽しそうに笑っていた。
私はその横顔を見ながら、昨日の病院での会話を思い出していた。
心臓の病気。
悪くなっている体調。
いつ何が起きてもおかしくない。
そう言われた蒼空は、どんな気持ちだったんだろう。
怖くなかったはずがない。
それなのに、いつも私の前では笑っていた。
「美月?」
蒼空が顔を覗き込んできた。
「どうした?」
「……なんでもない」
「またそれ?」
蒼空は少しだけ眉を下げた。
「最近、なんでもないって言うこと増えたよな」
私は答えられなかった。
本当のことを言ったら、きっと困らせてしまう。
あなたが死ぬところを何度も見た。
あなたを助けるために、何度もやり直している。
そんなこと、簡単に言えるわけがない。

