「美月ー!」
校門の前で、莉子が大きく手を振っていた。
「おはよ!」
「おはよう。朝から元気だね」
「そりゃあね! 今日、放課後みんなで遊びに行くんでしょ?」
「あ、そうだった」
「忘れてたの!?」
莉子が目を丸くした。
「もう、蒼空くんと陸くんも誘ってあるんだからね!」
そう言って、莉子は私の腕を引っ張った。
教室に入ると、蒼空と陸が窓際の席で話していた。
「おー、美月。おはよ」
蒼空が笑う。
「おはよう」
その笑顔を見ただけで、胸がいっぱいになった。
昨日、病院で話をしてくれた蒼空。
その蒼空が、今、目の前にいる。
「なに? また俺の顔になんかついてる?」
「……ううん」
「じゃあ、なんでそんな見んの」
「見たいから」
蒼空は一瞬固まった。
「……朝からそういうこと言う?」
「だめ?」
「だめじゃねえけど」
蒼空は耳を赤くして、そっぽを向いた。
隣で陸が吹き出した。
「お前ら、朝から何やってんだよ」
「うるせえ、陸!」
そのやり取りに、莉子まで笑い出す。
私はその光景を、目に焼きつけるように見つめた。
この時間が、ずっと続けばいい。
4人で笑って、くだらない話をして。
何でもない1日を、何でもないまま過ごして。
そんな未来が、欲しかった。

