「蒼空がひとりで怖がってたことも、苦しんでたことも、何も知らなかった」
蒼空は何も言わなかった。
ただ、私の涙を見つめていた。
「……ごめん、美月」
「謝らないでよ」
私は蒼空の手を強く握った。
「謝らないで……」
声が震えて、うまく言葉にならなかった。
「だって、私……」
何度も、あなたが死ぬところを見た。
何度も、あなたを失った。
でも、あなたは何も知らない。
あなたが死ぬたびに、私だけが7月12日に戻ってくることも。
何度やり直しても、あなたが私をかばってしまうことも。
言えるわけがなかった。

