時間が止まったような気がした。
「小さい頃から、ずっと」
蒼空はゆっくりと話し始めた。
「生まれつき、心臓に病気があってさ。ずっと病院に通ってたんだ。薬も飲んでるし、定期的に検査もしてる」
「……そんな」
「中学のときは、落ち着いてたんだよ。普通に学校にも行けたし、運動だって少しならできた」
蒼空は、苦笑いした。
「でも、最近また悪くなってきて」
私は何も言えなかった。
「先生にも、無理はするなって言われてる。いつ何が起きてもおかしくないって」
いつ何が起きても。
その言葉が、頭の中で何度も響いた。
「……じゃあ、7月19日は?」
思わず口に出していた。
蒼空が顔を上げる。
「え?」
「7月19日。蒼空、私に話したいことがあるって言ってたよね」
蒼空の瞳が揺れた。
「……なんで、それ」
「覚えてるの」
私は小さく息を吸った。
「蒼空が、何を話そうとしてたのか知りたい」
蒼空はしばらく黙っていた。
そして、膝の上で握りしめていた手を、ゆっくりと開いた。
「……俺さ」
その声は、震えていた。
「19日に、美月に全部話すつもりだったんだ」

