放課後。
私は蒼空の委員会が終わるのを教室で待っていた。
窓の外では、野球部の掛け声が聞こえている。
スマホを見ると、莉子からメッセージが届いていた。
『今日、蒼空くんと帰るの?』
『うん』
『そっか! なんかあったら連絡してね』
『ありがとう』
画面を閉じた、そのときだった。
廊下から陸の声が聞こえた。
「蒼空、今日病院だろ? 間に合うのかよ」
私は思わず顔を上げた。
病院。
その言葉に、心臓が嫌な音を立てる。
「……今日?」
「そう。予約、夕方だったよな?」
「声でけえって」
蒼空の声が、少し強くなった。
「わかってる。ちゃんと行くから」
「お前なあ、最近ほんとに――」
「陸」
蒼空が言葉を遮った。
廊下が静かになる。
私は立ち上がり、教室の扉を開けた。

