その夜。
私はベッドの上で、スマートフォンを握りしめていた。
頭の中には、昼休みの会話が何度も蘇っていた。
『ちょっと検査してるだけ』
『いつか、ちゃんと話すから』
蒼空は、病院に通っている。
私に隠して。
どうして?
何のために?
スマートフォンを開き、蒼空とのメッセージを見つめた。
「……蒼空」
胸の奥がじわりと痛くなった。
もしかしたら、私は今まで、蒼空のことを何も知らなかったのかもしれない。
好きな食べ物。
好きな音楽。
苦手な教科。
そんなことなら、いくらでも知っている。
でも。
彼は何をひとりで抱えているのか。
私は、知らなかった。
「……知りたいよ」
涙が一粒、頬を伝った。
「蒼空のこと、もっと知りたい……」

