「……美月?」
聞き覚えのある声がした。
私は、ゆっくりと目を開ける。
見慣れた天井。
カーテンの隙間から差し込む、朝の光。
そして。
「おーい。美月?」
目の前に、君がいた。
黒い髪。
少し垂れた目。
いつもみたいに、困ったように笑う顔。
何度も夢に見た、君の姿。
「……そ、ら?」
「なに? 寝ぼけてんの?」
蒼空が、私の顔を覗き込む。
その声が。
その笑顔が。
あまりにも懐かしくて。
「……っ」
私は、何も言えなくなった。
「え、ちょっと。どうした?」
蒼空が慌てて、私の肩に手を置く。
「美月?」
ああ。
温かい。
君の手が、温かい。
夢じゃない。
夢なんかじゃない。

