交差点に近づいたとき、私は思わず足を止めた。
あの日と同じ場所。
赤信号。
車の走る音。
「……美月?」
蒼空が私の顔を覗き込む。
「どうした?」
私は首を横に振った。
「……なんでもない」
もう、ここは通らない。
私は蒼空の手を引いた。
「こっちから帰ろう」
「え? そっち?」
「うん!」
蒼空は不思議そうにしながらも、私についてきた。
交差点を避けた。
事故が起きた場所から離れた。
これで大丈夫。
これで、蒼空は助かる。
そう思った瞬間だった。
遠くから、クラクションが鳴り響いた。
振り返る。
車が、こちらに向かってきていた。
「……え?」
身体が動かない。
まただ。
また、同じことが起きる。
「美月!!」
蒼空が私を突き飛ばした。
「蒼空!!」
叫んだ瞬間、衝撃が走った。
蒼空の身体が、目の前から消えた。
「……嘘」
地面に倒れた私は、震える手を伸ばした。
蒼空が倒れている。
また、私を庇って。
「蒼空……!」
駆け寄る。
何度も名前を呼ぶ。
「お願い……目を開けて……!」
蒼空は、ゆっくりと目を開けた。

