お葬式が終わったあと、私は一人で蒼空の部屋を訪れた。
玄関の扉を開けると、いつもの匂いがした。
洗剤の匂いと、少しだけ甘い柔軟剤の匂い。
それだけで、また泣きそうになる。
「……お邪魔します」
返事がないことに、胸が痛くなった。
いつもなら、すぐに君が出迎えてくれたのに。
『美月、いらっしゃい』
そんな声が、今にも聞こえてきそうだった。
部屋の中は、何も変わっていなかった。
机の上には、読みかけの参考書。
ベッドの横には、私があげた小さなクマのぬいぐるみ。
そして、窓際の棚には、二人で撮った写真が飾られていた。

