次の日。携帯を見ると、大量のファイルが届いていて、思わず目眩がしそうになった。あの口ぶりから考えると、嫌がらせだと思った。だが、中身を見れば、整えられたものだった。
俺はすぐにPCでまとめてから、携帯にファイルを戻した。そこで、万年筆をポケットに入れ、煙草とジッポを持った。車のキーも手にして、部屋を出たあとは、スタジオへ向かっていった。
個室に入ってすぐ右側のソファーには、肌触りの良さそうなタオルケットが置かれていた。テーブルの上には五線譜がまとめて置かれ、灰皿まで用意されている。辺りを見回せば、綺麗に掃除されていて、ビジネスホテルに来た錯覚に陥りそうだった。
どこまでも鼻につくやつだが、仕事ぶりには敵わないものがあった。状態を把握したあとで、スタジオ内を歩いて見回った。出入り口から入って左側の受付に立つと、休憩スペースが見え、ロールカーテンが降りていた。そこには飲み物から食べ物の自販機が備わり、テーブルや椅子があって、モスグリーンのソファーまで置かれていた。
休憩スペースを過ぎると、個室までの距離が丁度良かった。個室の数も十分で、トイレも別々に備わっている。他にも事務室や医務室、従業員の更衣室などがあった。
平屋建てのスタジオの内装は綺麗だったが、出入り口から覗くと、外壁が所々ひび割れていた。そこから再び個室に戻り、備え置きのチェアーに腰を下ろした。
座り心地は悪くないが、少し堅くて、俺には合わなかった。それでも、ここから見る景色は感覚を取り戻すには充分に感じられた。
ふと、ポケットの中で携帯が震え、取り出してみると、番号だけが表示されていた。すぐに嫌な予感を覚えたが、仕方なくスライドして、耳に当てた。
「あ。おじ……、どうだった? 私の歌詞」歌音は語尾を伸ばしながら、明るい声で言ってきた。
「よくできてる。ただ……、おじさんって言うな」俺はそれを認めてないわけではないが、呼ばれると、どうも調子が狂う。
「えー、佐伯さんだって同じじゃん」そう言われて、俺は受け入れた。
「悪かった。歌音」
はっきり名前を呼ぶと、「じゃあ、曲が出来たらデモ送って。すぐ覚えて連絡する」と歌音は言って、電話を切った。
言葉選びもそうだが、歌詞を見れば、歌音に経験があることは分かっていた。ただ、歌うほうはあまり得意ではなさそうに思えた。
俺はすぐにPCでまとめてから、携帯にファイルを戻した。そこで、万年筆をポケットに入れ、煙草とジッポを持った。車のキーも手にして、部屋を出たあとは、スタジオへ向かっていった。
個室に入ってすぐ右側のソファーには、肌触りの良さそうなタオルケットが置かれていた。テーブルの上には五線譜がまとめて置かれ、灰皿まで用意されている。辺りを見回せば、綺麗に掃除されていて、ビジネスホテルに来た錯覚に陥りそうだった。
どこまでも鼻につくやつだが、仕事ぶりには敵わないものがあった。状態を把握したあとで、スタジオ内を歩いて見回った。出入り口から入って左側の受付に立つと、休憩スペースが見え、ロールカーテンが降りていた。そこには飲み物から食べ物の自販機が備わり、テーブルや椅子があって、モスグリーンのソファーまで置かれていた。
休憩スペースを過ぎると、個室までの距離が丁度良かった。個室の数も十分で、トイレも別々に備わっている。他にも事務室や医務室、従業員の更衣室などがあった。
平屋建てのスタジオの内装は綺麗だったが、出入り口から覗くと、外壁が所々ひび割れていた。そこから再び個室に戻り、備え置きのチェアーに腰を下ろした。
座り心地は悪くないが、少し堅くて、俺には合わなかった。それでも、ここから見る景色は感覚を取り戻すには充分に感じられた。
ふと、ポケットの中で携帯が震え、取り出してみると、番号だけが表示されていた。すぐに嫌な予感を覚えたが、仕方なくスライドして、耳に当てた。
「あ。おじ……、どうだった? 私の歌詞」歌音は語尾を伸ばしながら、明るい声で言ってきた。
「よくできてる。ただ……、おじさんって言うな」俺はそれを認めてないわけではないが、呼ばれると、どうも調子が狂う。
「えー、佐伯さんだって同じじゃん」そう言われて、俺は受け入れた。
「悪かった。歌音」
はっきり名前を呼ぶと、「じゃあ、曲が出来たらデモ送って。すぐ覚えて連絡する」と歌音は言って、電話を切った。
言葉選びもそうだが、歌詞を見れば、歌音に経験があることは分かっていた。ただ、歌うほうはあまり得意ではなさそうに思えた。



