内緒の手紙〜恋人編〜

放課後の図書室からは、今日も美しい夕陽がのぞいている。
図書室の中だけは静かで、部活動の音が響いてくる。
まるで私と古賀くんだけの世界みたい。

「ねえ、古賀くん」

「ん?なに?」

図書委員の仕事中だから私がカウンターにいるのはわかるけど。
なんで古賀くんまで?
しかも、なんだか距離も近い気がする。
すごくドキドキする。

「あ、あの、ここ図書室だよ?」

「別にいいじゃん。いつも誰も来ないじゃん」

私の言葉に、イタズラっぽく笑う古賀くん。
それから私の手をとって、古賀くんはカウンターに手をついた。
これっ…近い…。
心臓の音が耳まで響いて、古賀くんに聞こえていないか心配になる。
恋人になってから、古賀くんはなんだか積極的で。
こうやっていつも私をドキドキさせてくる。
私は恥ずかしくて、ふいっと視線をそらした。
そらした先には本が積み上げられている。
私はふと、彼に聞いた。

「今日は…なにを借りるの?」

「本じゃない」

「えっ…そ、それってどういう…」

驚いてそういうと、もっと、グッと距離を縮めてきて。
そして、ふっと笑った。

「彩月に会いにきた。ダメ…だった?」

私の心臓がドキンッと跳ねた。
絶対、前はこんなこと言わなかった。
ずるい、ずるいよ。
私は小さく呟いた。

「ダメ…じゃない」

そう言うと、古賀くんはふっと笑って私の頭を撫でた。
その手はとても優しい。
そしてふと、古賀くんが言った。

「ここに毎日通ってたときは、彩月と付き合って、こうやって触れられるなんて思ってもみなかった」

「最初は毎日来るからびっくりしちゃった。そんなに本が好きなのかな〜って」

「本じゃない。彩月に一目惚れしたから」

サラリとそんなことを言うから、また鼓動が跳ねた。
顔が赤く染まっていくのがわかる。
そして、古賀くんの手が私の頬に触れた。
その時の瞳は、私を愛おしそうに見つめていて、それで恥ずかしくなった。
私はもう一度視線をそらす。
すると、古賀くんはイジワルで。

「ねえ、こっち向いて」

「や、やだ…」

「ふっ、かーわい」

古賀くんはクイッと私の顎を持ち上げて、そしてキスをした。
ほんの一瞬だったはずなのに、それだけで体温があがっていく。
私はあわてる。

「こ、ここ図書室…!」

「いつも誰もこないじゃん。平気だって」

それから、古賀くんはコツンッと私の肩に頭を乗せてきた。
そのとき耳たぶが赤く染まっているのが見えた。
なんだ、私だけじゃないんだ。
少しだけ安心した。
それから、古賀くんは顔をあげて言った。

「好きだよ、彩月」

「うん、私も。好き」

私たちの唇は再び重なった。
放課後の図書室は、いつも私たちの特等席。
そうして、甘い時間が流れていく。