憧憬少女


目が覚めて、枕元のスマホを手探りで手に取る。

11:15と示されたロック画面には、何の通知もきていない。

今日も18時から出勤なのに、少し早く起きてしまった。

昨日、何も食べていなかったせいか、胃が空腹を訴えているけれど、冷蔵庫には飲み物しか入っていない。

洗顔と歯磨きをして、適当なニットを着てスキニーを履く。
コートを羽織って、財布とスマホをコートのポケットに突っ込んで部屋を出た。

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コンビニも喫茶店も、何でもある街が歌舞伎町だ。

昼の歌舞伎町は、夜とは違う雰囲気を醸し出している。

15分歩いた体は、温かい食べ物を欲していた。

目に入ったファミレスに入る。

「いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ」

明るい店員の声が響く。

店内には、打ち合わせ風のサラリーマンや、眠たそうな顔をした夜職風の男女がちらほら座っている。

奥のボックス席を選んで、腰を下ろし、メニューを開く。

迷った末に、温かいドリアを注文した。

料理を待つ間、スマホを取り出すけれど、変わらず通知は一件もきていない。

そもそも、私のスマホに届く唯一の通知は、出勤時間の2時間前に送られてくる、店からの出勤確認のLINEのみだ。

ネットのニュース記事を軽く読みながら、画面をスワイプする。

ネット記事を軽くかじっておけば、客からどんな話題を振られてもそれなりに会話が成立するから。

無意識の内に習慣づいてしまった職業病に、思わず苦笑いしてから、スマホを伏せて置いた。