それでも明日、あの場所で待ってる

次の日もずっと小田君のことを考えていた。買ってもらったちょうちょはもちろんバッグに着けている。友達が気づいてかわいいと褒めてくれた。ひとりでに顔がにやけていたらしく、追及されて小田君のことを話した。周りの方が本人よりも盛り上がっていた。

休み時間ごとに、連絡が来ていないか気になってスマホを確認した。向こうはテスト期間中だと言っていたから来る確率は低いけど、それでももしかしたらと思わずにはいられない。でも、結局学校にいる間連絡が来ることはなかった。

放課後も相変わらずスマホが気になっていた。通知音が鳴ってドキッとすると、ママからだったりした。

こっちから送ってみようかな。でも何て――。

そうだ、テスト期間なんだから、勉強頑張ってねと送ればいい。それなら、全然ヘンじゃない。

〈ちゃんと勉強してる? 頑張ってね〉

少し迷ってから、送信をタップした。

心臓がトクトク言っている。すぐに既読になって返信が来るのを期待していたのに、なかなか既読にならない。

そんな画面とどれくらいにらめっこしていただろう。

結局、送信した時と何一つ変わらないスマホをポケットに入れて歩き出した。


帰ってからもずっとそわそわして何も手に着かなかった。夕飯は好物のキーマカレーだったのに、あまり食欲もわかなかった。

いつもよりも急いでお風呂から上がると、すぐにスマホを確認した。でもやっぱり既読はついていなかった。

きっと今日は忙しいんだ。そんな日だってある。そう自分に言い聞かせてベッドに入った。

なかなか眠れなかったのにいつの間にか朝になっていて、スマホのアラームで目が覚めた。いつもならスヌーズでまた目を閉じるところを、すぐにアラームを停止してLINEを確認した。

「あっ」

既読になっていた。時刻は、23:59。でも返信は来ていなかった。

なんで?

腹立たしさの混じった不安がこみ上げる。

一昨日はあんなにやさしくしてくれたのに、急にどうして? もし、もう引っ越してしまったんだとしても、LINEくらいできるはず。

既読無視って何? もうわたしとは関わりたくないってこと? そりゃあ、連絡先を聞いたのはこっちだったけど……。

モヤモヤした気分のまま一日を過ごし、学校が終わると、いるはずないとわかっているのにまたあの公園に向かった。

一昨日はこっちも特別授業で時間が早かった。中間テストは三日か四日は続くだろうから、今日も午前中で終わったんならもうとっくに帰っている頃だし、もしテスト期間が二日しかなくてもう部活が始まっているのなら、今の時間はまだ学校にいるはずだ。つまり、どっちにしろ小田君が公園にいるはずがない。

とは言え淡い期待を捨てきれずにいたものの、あのベンチで一時間以上待っても小田君が現れることはなかった。彼が蹴っていた真っピンクのボールも、もう無くなっていた。


週末もずっと、小田君から返信が来ることは無かった。

一緒に電車に乗って、息を切らしながら長い階段を登って、並んで綺麗な景色を眺めたことなんて、もしかしたら夢だったのかもしれないとさえ思えて来る。

またメッセージを送ってみようか。でもしつこいと思われたくない。だけど―。

もう一度小田君に会いたかった。

最後に、もう一度だけ。

遠くから見るだけでもいい。だから―。