こういうの、もしかしてストーカーっぽいのかな……。
週明け、学校が終わると駅に向かった。十和崎に行ってみようと思ったのだ。でも学校に押しかけてまで会おうとかいうんじゃなくて、遠くから、サッカーをやっている姿をちょっとだけ見られたら、という気持ちだった。
近いうちに引っ越すことになるとは言っていたけど、あれからそんなにたっていないのでまだ転校はしてないんじゃないかと思う。たとえ遠くからでも、最後にもう一度顔を見て、ちゃんとあきらめたかった。
四十分くらい電車に揺られ、十和崎に着いた。
駅を出て、右手にあるバス乗り場へと向かう。
学校までの行き方は調べてある。一番乗り場から乗って、学校の前のバス停で降りればいい。
ちょうど一番乗り場にバスが入って来た。小走りで駆け寄る。車体側面に表示された経由地に「十和崎学園前」とあるのを確認し、そのバスに乗り込んだ。
車窓から街の景色を眺めながら、小田君も毎日この景色を見ているんだなと思う。それにしても、すぐには行き来できないくらい遠くってどこだろう。北海道、沖縄、それとも、海外……。
いくつか停留所を過ぎ、目的のバス停がアナウンスされた。
『次は、十和崎学園前、十和崎学園前でございます。お降りの方は、お知らせ願います』
緊張しながら降車ボタンを押した。
少し歩いて、校門の前に立つ。「十和崎学園中学校・高等学校」とある。
緊張が増してきた。ここからではグラウンドは見えない。ぐるりと周囲を回ってみれば、もしかしたらどこかから見えたりするのかもしれない。でもわたしは校門の中に足を踏み入れた。勝手に入ったら怒られるかもしれないけど、その時はその時だ。
放課後なので校舎は静かだ。その代わり体育館やグラウンドの方からは部活の音や声が響いてくる。わたしは小田君がサッカーをしているところを想像していた。
制服が違うから、すれ違った何人かに変な目でみられながら、グラウンドが見える場所まで行った。
広い。
手前では女子のソフトボール部がバッティングの練習をしている。向こうには陸上部もいるし、何部かわからないけれど列を組んでランニングをしている人たちもいる。
いくつもの部があっちこっちで練習をしている中、サッカー部は一番遠くにいた。この距離では誰が誰だかわからない。もっと近くまで行くべきか。でもこの学校の制服が紺色なのに対してわたしが来ているブレザーはベージュ。もし小田君に気づかれて、それこそストーカーだと思われるのは絶対に嫌だ。
そのとき、誰かが後ろを通った。何気なく見ると赤いジャージ姿の女子で、背中には「十和崎学園蹴球部」と入っている。
蹴球部?
「あの!」
思わず呼び止めた。女子サッカー部なのかもしれないけれど、もしかしたら男子サッカー部のマネージャーかもしれない。どっちにしろ同じサッカーをやっているのなら小田君のことを知っているんじゃないかと思ったのだ。
不思議そうな顔で振り返ったその子にわたしは聞いた。
「小田翔太君って、ここのサッカー部だよね?」
「えっ……ああ……」
「今日は、来てる?」
「えっ?」
「あ、えっと、わたしちょっと知り合いで、たまたま近くまで来たから寄ってみたんだけど……」
相手が何となく怪訝そうな顔をしたので、取り繕うようにそんなことを言った。
「知り合いって、しばらく会ってないの?」
その子が聞いた。
「まあ、うん。だから、元気かなあって思って」
「もしかして、知らないの?」
週明け、学校が終わると駅に向かった。十和崎に行ってみようと思ったのだ。でも学校に押しかけてまで会おうとかいうんじゃなくて、遠くから、サッカーをやっている姿をちょっとだけ見られたら、という気持ちだった。
近いうちに引っ越すことになるとは言っていたけど、あれからそんなにたっていないのでまだ転校はしてないんじゃないかと思う。たとえ遠くからでも、最後にもう一度顔を見て、ちゃんとあきらめたかった。
四十分くらい電車に揺られ、十和崎に着いた。
駅を出て、右手にあるバス乗り場へと向かう。
学校までの行き方は調べてある。一番乗り場から乗って、学校の前のバス停で降りればいい。
ちょうど一番乗り場にバスが入って来た。小走りで駆け寄る。車体側面に表示された経由地に「十和崎学園前」とあるのを確認し、そのバスに乗り込んだ。
車窓から街の景色を眺めながら、小田君も毎日この景色を見ているんだなと思う。それにしても、すぐには行き来できないくらい遠くってどこだろう。北海道、沖縄、それとも、海外……。
いくつか停留所を過ぎ、目的のバス停がアナウンスされた。
『次は、十和崎学園前、十和崎学園前でございます。お降りの方は、お知らせ願います』
緊張しながら降車ボタンを押した。
少し歩いて、校門の前に立つ。「十和崎学園中学校・高等学校」とある。
緊張が増してきた。ここからではグラウンドは見えない。ぐるりと周囲を回ってみれば、もしかしたらどこかから見えたりするのかもしれない。でもわたしは校門の中に足を踏み入れた。勝手に入ったら怒られるかもしれないけど、その時はその時だ。
放課後なので校舎は静かだ。その代わり体育館やグラウンドの方からは部活の音や声が響いてくる。わたしは小田君がサッカーをしているところを想像していた。
制服が違うから、すれ違った何人かに変な目でみられながら、グラウンドが見える場所まで行った。
広い。
手前では女子のソフトボール部がバッティングの練習をしている。向こうには陸上部もいるし、何部かわからないけれど列を組んでランニングをしている人たちもいる。
いくつもの部があっちこっちで練習をしている中、サッカー部は一番遠くにいた。この距離では誰が誰だかわからない。もっと近くまで行くべきか。でもこの学校の制服が紺色なのに対してわたしが来ているブレザーはベージュ。もし小田君に気づかれて、それこそストーカーだと思われるのは絶対に嫌だ。
そのとき、誰かが後ろを通った。何気なく見ると赤いジャージ姿の女子で、背中には「十和崎学園蹴球部」と入っている。
蹴球部?
「あの!」
思わず呼び止めた。女子サッカー部なのかもしれないけれど、もしかしたら男子サッカー部のマネージャーかもしれない。どっちにしろ同じサッカーをやっているのなら小田君のことを知っているんじゃないかと思ったのだ。
不思議そうな顔で振り返ったその子にわたしは聞いた。
「小田翔太君って、ここのサッカー部だよね?」
「えっ……ああ……」
「今日は、来てる?」
「えっ?」
「あ、えっと、わたしちょっと知り合いで、たまたま近くまで来たから寄ってみたんだけど……」
相手が何となく怪訝そうな顔をしたので、取り繕うようにそんなことを言った。
「知り合いって、しばらく会ってないの?」
その子が聞いた。
「まあ、うん。だから、元気かなあって思って」
「もしかして、知らないの?」
