葉山くんは私の前でだけ忠犬

ほんとは売られた喧嘩も買わないでほしいんだけど。

喧嘩大好きな葉山くんにとって、自分から吹っかけないっていうのは大きな一歩かもしれない……。


「約束……だよ?」
「うん、ちゃんということきく〜」


ぎゅうぎゅうと、私の背中に絡みついてる葉山くんの腕が強くなる。

恥ずかしくて、もう離れてほしくて私が葉山くんの背中を叩けば、小さく「ちぇっ」と可愛く舌打ちをした力を緩めてくれた。


「教室、戻ろう……?授業始まるよ」
「ねぇ、やっぱ千代の隣のやつにオネガイして席変わってもらおーよ。俺、千代の隣がいい」
「だ、ダメ……来週の席替えまで我慢、でしょ?」
「ちぇっ……授業中寝るけどそれはユルシテよねぇ」


顔を背けて歩き出す葉山くん。

私も急いで廊下を歩けば、自然と歩くスピードが落とされ、葉山くんの定位置である私の半歩後ろでぶつくさと文句を言いながらついてくる。