大山先輩の背中が、人混みの中へ消えていく。
追いかけたい。
あたしなら、すぐに追いつける。
でも――
ダメ。
あたしは、その場に残った。
「加納さん、大丈夫ですか?」
水城さんがあたしのそばに来る。
「はい」
答えた声が、自分でも分かるくらい震えていた。
さっきまで触られていた感覚が、まだ身体に残っている。
「俺は何もしてない!」
痴漢男が大声を上げた。
「勝手に触ったことにするなよ!」
「犯行は確認しています」
久世さんがきっぱりと言った。
「駅で詳しく話を聞きます」
三枝さんと榊原さんが、男を車外へ連れ出す。
あたしも水城さんと一緒にホームへ降りた。
足に、うまく力が入らない。
……怖かった。
分かってて乗った、あたしでもこんなに怖かったんだ。
あたしは右耳のピアスに触れた。
小山内さん。
一人で、よく頑張ったね。
その時、ホームの向こうがざわついた。
あたしは顔を上げた。
追いかけたい。
あたしなら、すぐに追いつける。
でも――
ダメ。
あたしは、その場に残った。
「加納さん、大丈夫ですか?」
水城さんがあたしのそばに来る。
「はい」
答えた声が、自分でも分かるくらい震えていた。
さっきまで触られていた感覚が、まだ身体に残っている。
「俺は何もしてない!」
痴漢男が大声を上げた。
「勝手に触ったことにするなよ!」
「犯行は確認しています」
久世さんがきっぱりと言った。
「駅で詳しく話を聞きます」
三枝さんと榊原さんが、男を車外へ連れ出す。
あたしも水城さんと一緒にホームへ降りた。
足に、うまく力が入らない。
……怖かった。
分かってて乗った、あたしでもこんなに怖かったんだ。
あたしは右耳のピアスに触れた。
小山内さん。
一人で、よく頑張ったね。
その時、ホームの向こうがざわついた。
あたしは顔を上げた。



