電車が動き出した。
朝の車内は混んでいて、人と人との間にほとんど隙間がない。
あたしはドアの近くに立ち、何気ない顔でスマホを見た。
……どこにいるんだろ。
見回したい。
ものすごく見回したい。
でも、そんなことをしたら囮にならない。
『普通の乗客でいろ』
高遠先輩に何度も言われた言葉を思い出す。
あたしはスマホの画面を見たまま、じっと立っていた。
駅に着くたび、人が降りて、また乗ってくる。
少しずつ、車内の人が増えていく。
誰かの肩が当たる。
鞄が腰にぶつかる。
そのたびに身体が反応しそうになる。
……違う。
まだ違う。
そして、次の駅を出た時だった。
お尻に、何かが触れた。
ん?
あたしの指が止まる。
……来た?
鞄が触れただけ?
朝の車内は混んでいて、人と人との間にほとんど隙間がない。
あたしはドアの近くに立ち、何気ない顔でスマホを見た。
……どこにいるんだろ。
見回したい。
ものすごく見回したい。
でも、そんなことをしたら囮にならない。
『普通の乗客でいろ』
高遠先輩に何度も言われた言葉を思い出す。
あたしはスマホの画面を見たまま、じっと立っていた。
駅に着くたび、人が降りて、また乗ってくる。
少しずつ、車内の人が増えていく。
誰かの肩が当たる。
鞄が腰にぶつかる。
そのたびに身体が反応しそうになる。
……違う。
まだ違う。
そして、次の駅を出た時だった。
お尻に、何かが触れた。
ん?
あたしの指が止まる。
……来た?
鞄が触れただけ?



