加納欄の冤罪シリーズ33シーズン4

「最後に、もう一つだけいいですか?」

「はい」

「吉井さんの腕を掴んだ時のこと、もう一度思い出してほしいんです」

小山内さんの顔が強張った。

「無理はしなくていいです」

「……大丈夫です」

あたしは少し待ってから、口を開いた。

「触られて、振り向いたんですよね?」

「はい」

「その時、吉井さんは?」

「すぐ後ろにいました」

「手は腰の辺りにあった」

「はい」

「それで、その手を掴んだ?」

小山内さんは頷いた。

「もう、逃がしたくなかったから……」

その言葉に、あたしは顔を上げた。

「何度も怖くて何もできなかったから……今度こそって」

震える声で、それでも小山内さんは続けた。

「だから、必死で掴みました」

あたしは手帳を閉じた。

「分かりました。ありがとうございます」

その勇気まで、間違いだったことにはしたくない。

だからこそ、本当のことを見つけなきゃいけない。