海色の恋〜冷徹社長の甘い愛に染められて〜

ナイトアクアリウムのポスターのイメージを考えるため、水族館デートに誘われた。考えてみれば、こうして外でデートをするのは初めてかもしれない。
付き合って数ヶ月。一緒に住んでいることもあって普段は家で過ごしたり、たまに一緒に買い物へ出かけたりするくらいだ。だから今日は、楽しみにしていた。なのに――。

「おはよう、美月。ご飯できたよ」

耳元で囁かれた優しい声に、ゆっくりと目を開ける。ぼんやりとした視界に映ったのは、私を見下ろす海人だった。

「ん?」

時計に目を向けた瞬間、眠気が一気に吹き飛ぶ。

「うそ…もう昼前じゃん」

完全に寝坊した。しかも今日はデートの日。慌てて起き上がりながら、頭を抱えたくなる。疲れている海人にご飯まで作らせてしまった。

「ごめん、デートって言ってたのに。私、目覚ましかけなかったのかな」

かけた記憶はある。でも、止めた記憶はない。

「美月があまりに気持ちよさそうに寝てて、起こせなかった」

海人はふっと笑った。

「それに、仕事で疲れてるだろうし。気にしなくていいよ」

「でも」

「あと、目覚まし止めたの俺だから」

「え?」

あっさり告げられて、思わず海人を見る。

「だって、すごく可愛かったから」

そう言って、また優しく笑う。…甘やかしすぎでは?

「ほら。顔洗っておいで」

「うん」

「可愛いラテアートもあるよ」

「えっ、本当!?」

一気に目が覚めた。洗面所で顔を洗い、席につく。テーブルの上には、ふわふわに焼かれたフレンチトースト。エビとアボカドのサラダに、シャインマスカットまで並んでいる。そして、その隣にはラテアート。描かれていたのは――ウミガメ。

「可愛い」

思わず頬が緩む。完璧すぎる。寝坊した彼女を責めるどころか、起こさずにご飯まで用意してくれて、こんなものまで作ってくれるなんて。目の前に座る海人は、そんな私を見ながら涼しげな顔をしている。

「気に入った?」

「うん」

「よかった」

そう言って、海人はコーヒーを一口飲んだ。その余裕のある横顔がまた綺麗すぎる。