図書室の窓から、素直じゃない恋が降ってきた

昼休みの終わりを告げる予鈴が、無情にも学校中に鳴り響いた。

「あ……チャイム」

私が小さく声を上げると、颯太くんはビクリと肩を揺らし、慌てて私を突き放した。
さっきまであんなに強く抱きしめていたくせに、急にそっぽを向いて、赤い顔を隠すように前髪をくしゃくしゃとかき回す。

「……チッ、もうそんな時間かよ」

舌打ちをして不機嫌そうに呟く彼は、完全にいつもの「あまのじゃく」モードに戻っていた。

「教室、戻らなきゃね」

私が名残惜しさを隠してそう言うと、颯太くんはツカツカと扉の方へ歩き出し、ドアノブに手をかけた。そのまま出ていくのかと思いきや、彼はそこでピタリと足を止める。
振り返りもせず、耳まで真っ赤にした背中のまま、ぶっきらぼうに言った。

「……お前さ、放課後もちゃんと図書室いろよ」

「え? でも、今日は屋上に集合って……」

「あー、もう! つべこべ言わずにいろ! ……俺が、迎えに行ってやるから」

最後の方はほとんど消え入りそうな声だった。
私が驚いて固まっていると、彼は「じゃあな!」と吐き捨てるように言い残し、バタバタと勢いよく扉を開けて階段を駆け下りていってしまった。
一人残された屋上で、私はじんわりと込み上げる愛おしさに、思わず口元を緩める。
「一緒に屋上に行こう」って素直に言えばいいのに。わざわざ図書室まで迎えに来るなんて、本当にあまのじゃくなんだから。
午後の授業中も、先生の声は全く頭に入ってこなかった。
ノートの端に、彼から届いた『暇なら来れば?』という文字をなぞっては、胸をときめかせる。