図書室の窓から、素直じゃない恋が降ってきた

私たちはあの日から毎日、放課後の屋上で会っている。なのに、連絡先も知らないし、お互いの好きな事だって知らない。
でも、あの日の颯太くんはいつもと違う笑顔だった。その理由を知るために付き合ったと言っても過言ではない。

「また、あの笑顔を見せてくれるのかな……」

そう小さく、彼に聞こえないくらいの声で呟いた。だけど、颯太くんが不意にこちらを向いた。

「なんか言った?」

――聞こえてたらどうしよう。私はとっさに焦って、話題を変えた。

「れ、連絡先、まだ交換してなかったよね」

その言葉に、颯太くんが一瞬だけ、あの日の笑顔を見せた気がした。だけど、それは束の間、すぐにいつもの、誰からも好かれる「人気者の颯太くん」の笑顔に戻ってしまう。

「じゃあ、交換しよっか」

今日は、彼と連絡先を交換しただけ。それでも、また一つ颯太くんの秘密に近づけた気がして、胸が少し温かくなった。