放課後、いつものように図書室の奥から「プリズムの窓辺」へと踏み込む。
屋上へと繋がる扉を開けた瞬間、私たちは同時に息を呑んだ。
目の前に広がっていたのは――世界の半分以上を、深い群青色の夜空が包み込んだ景色だった。
沈みかけた夕日のオレンジは、もう地平線のほんのわずかな隙間に残るだけ。頭上には、こぼれ落ちそうなほどの美しい星々が、夜の訪れを告げるように輝いている。
「……また、進んだな」
颯太くんが、繋いだ私の手に少しだけ力を込める。
その手のひらは、最初に出会った時の冷たさが嘘のように、ずっと温かかった。
「怖く、ない?」
私が尋ねると、颯太くんはゆっくりと夜空を見上げ、それから私を振り返って、悪戯っぽく微笑んだ。
「……ちょっと前までは、怖かったよ。学校でボロが出そうになるたびに、この場所がなくなるのが嫌だって思ってた。でもさ」
彼は私の一歩前に歩み寄り、私の両手を包み込むように握りしめた。
「今日、あいつらと普通に話せた時、なんか、すげぇ楽だったんだ。完璧じゃなくても、誰も俺を嫌わなかった。……お前が言ってくれた通りだったよ、輝」
星空の光を映した彼の瞳が、真っ直ぐに私だけを捉える。
「この場所が消えるのは、寂しいけど。……でも、もう大丈夫だ。俺、明日もちゃんと、学校であいつらとバカ笑いしてこれるよ」
その笑顔は、偽物なんかじゃない。
私を信じ、自分を信じ始めた、世界で一番愛おしい、颯太くん自身の笑顔だった。
その瞬間、チリン――と、昨日よりもずっと大きな、鈴のような音が世界に響き渡った。
足元から、無数の光の粒子が、まるで天の川のように夜空へと昇り始めていく。
夕暮れが、終わろうとしていた。
屋上へと繋がる扉を開けた瞬間、私たちは同時に息を呑んだ。
目の前に広がっていたのは――世界の半分以上を、深い群青色の夜空が包み込んだ景色だった。
沈みかけた夕日のオレンジは、もう地平線のほんのわずかな隙間に残るだけ。頭上には、こぼれ落ちそうなほどの美しい星々が、夜の訪れを告げるように輝いている。
「……また、進んだな」
颯太くんが、繋いだ私の手に少しだけ力を込める。
その手のひらは、最初に出会った時の冷たさが嘘のように、ずっと温かかった。
「怖く、ない?」
私が尋ねると、颯太くんはゆっくりと夜空を見上げ、それから私を振り返って、悪戯っぽく微笑んだ。
「……ちょっと前までは、怖かったよ。学校でボロが出そうになるたびに、この場所がなくなるのが嫌だって思ってた。でもさ」
彼は私の一歩前に歩み寄り、私の両手を包み込むように握りしめた。
「今日、あいつらと普通に話せた時、なんか、すげぇ楽だったんだ。完璧じゃなくても、誰も俺を嫌わなかった。……お前が言ってくれた通りだったよ、輝」
星空の光を映した彼の瞳が、真っ直ぐに私だけを捉える。
「この場所が消えるのは、寂しいけど。……でも、もう大丈夫だ。俺、明日もちゃんと、学校であいつらとバカ笑いしてこれるよ」
その笑顔は、偽物なんかじゃない。
私を信じ、自分を信じ始めた、世界で一番愛おしい、颯太くん自身の笑顔だった。
その瞬間、チリン――と、昨日よりもずっと大きな、鈴のような音が世界に響き渡った。
足元から、無数の光の粒子が、まるで天の川のように夜空へと昇り始めていく。
夕暮れが、終わろうとしていた。


