図書室の窓から、素直じゃない恋が降ってきた

いつもと変わらない日のことだった。

私は、いつも通り図書室にいた。すると、突然窓が開き、カーテンが大きく舞い上がった。そこから滑り込んできた人影に、私は驚きで体が動かなくなった。
だってここは2階の図書室だ。人が入れるわけがない。

ずっと呆然としている私に、窓から入ってきた人が声をかけてきた。名前も知らない赤の他人だ。

「ねぇ、君――」

その声で、やっと私の体から強張りが抜けた。

「君、毎日いるよね」

「はい、そうですけど……」

会ったこともないのになんで知ってるんだろう。戸惑う私を余所に、彼は、悪びれもせず微笑む。

「僕は、2年2組の横山颯太。君は?」

「わ、私は、2年4組の相川輝です」

緊張してうまく声がでなかった。それもそのはず、相手は学校の有名人と言っても過言ではない、あの「そうたくん」だったからだ。
私が固まっていると、颯太くんはさらに距離を詰めてきた。

「明日もいる?」

「はい、いますけど――」

私が「なぜ」と問いかけるより早く、彼は満足そうに目を細めた。

「じゃあ――また明日」

彼はそれだけ言い残すと、ひらりとまた窓の外へ去ってしまった。

「また明日……?」

誰もいなくなった窓辺で、私はただ、その言葉をオウム返しに呟くことしかできなかった。