私たちはただの友達…

 ◆◇◆


 放課後……


 私と篠(しろ)はクラスが違うので、放課後よくこいつのいるグラウンドまで歩いていく。一緒に帰りたいから、それだけだ。それに、彼が一緒だと安心する気がして、それで一緒に帰りたくなる……


 篠(しろ)は女子たちに大人気の陸上部のエースだ……グラウンドの外で応援する人がいても、別に不思議ではない……


 私はいつもの場所に座って……本を取り出して読みながら……こいつが部活を終えるのを待っていた……


 男子を呼ぶ黄色い歓声は、もはや私にとってのBGMのようなものだ……


「もう、やだ……恥ずかしいって……」


 私が座っている場所の近くに、女子生徒が二、三人立って話していた……


「今行かなかったら、いつ行くのよ?」


「うーん……頑張ってみる……」


 私はちらりとその子たちを見た……そして見覚えのある顔を見つけた……


 鏡(かがみ)さんだ……


 声をかけようかな……いや、やめとこう。変に怖がられるだけだし……本を読み続けよう……


 しばらくすると、部員たちが休憩に入った……女子たちは急いで写真を撮ったり、名前を呼んだり……


 陸上部にはかっこいい人がたくさんいるけど……一番人気なのは、他でもない……


 休憩に入った篠(しろ)が私を見つけて手を振ってきた……女子たちはそれを自分たちに向けたものだと勘違いして、大歓声を上げた……


 それを見た私は、小さく手を振り返した……


 そして、思いがけないことが起こった……


「あれ誰?」


「え?……篠亜(しのあ)くんに飲み物渡してる……しかも受け取ってる!」


 なんだか、面倒なことになりそうな予感……


「うわ、まずいな……」