ナオくんの言うとおり

それなのにナオくん、彼女がいたって話聞いたことないんだよなぁ。
ナオくんが中学のときも高校のときも、ここで一緒に漫画読んだりしてたくらいだし……。


「あいつなりに真凜ちゃんのこと心配してるんだよ」
「マスター……」


ナオくんのお祖父さんでこの店のマスターが、フライパンの中でふんわりと膨らむホットケーキを焼きながらぽつりとそう言った。


心配してくれてるのかな、ホントに。

私のこと、バカにしてたような気もするけど。


ジトッとした目でナオくんを見る。

女性二人組と何やら楽しそうに話しているのがなんだか癪にさわって、私は軽く睨みつけたあと、好みの味に調整されているコーヒーをすすった。

ちょうどホットケーキも焼けた。
ふんわりと膨らむそれに、私は容赦なくナイフを突き刺した。