ナオくんの言うとおり

「真凜のこと、ちゃんと見てる人もいるだろ?」


私には視線を向けず、ナオくんはドリッパーに挽きたての豆をセットし、ステンレスのポットからお湯を淹れていく。

少しずつ、少しずつ、ガラスサーバーにコーヒーが落ちていくのを見ているうちに、ざわついていた心も穏やかになる。


千夏は、ちゃんと見ててくれた。

フラれた話も茶化さず聞いてくれた……。


もちろん、ナオくんも……。


「彼氏だってさ、急いで作らなくてもいいだろ」
「ナオくん……」


あれは、恋だったのか……憧れだったのか。

恋に恋をしてた、それだけだったのか……。


「急いで『大人』になろうとするなよ」


磨きたてのカップにコーヒーが淹れられて。

角砂糖が二つ、沈められる。
そしてミルクも、少し。