それからひと月が経った、6月の始まり。
夢幻中学の1年1組の教室で、アタシは今しがた先生から返却された理科のテストと睨めっこをしていた。
「夢芽ちゃん、何点だった?」
隣の席の奈穂ちゃんが声をかけてくれてアタシはぎこちなく笑いながらテストを見せる。
「7点だった……」
「えっ、7点!?」
奈穂ちゃんの大声に辺りがザワつく。
女子からの哀れみの視線と、男子たちの笑い声が聞こえる室内でアタシは身を縮めた。
「ご、ごめんね夢芽ちゃん……!言いふらすつもりはなくって……」
「い、いいんだよ、気にしないで!」
ヒドい点数なのは変わりないし。
それにアタシが頭悪いことなんて、みんな小学校のときから知ってるもん。
ほぼ変わらない生徒たちが繰り上がって中学生になるこの田舎の地域では、隠しようがないことだ。
また夢喰が赤点とってるよ。
そう言われるだけ。
気まずそうな奈穂ちゃんにへらりと笑って、テストを通学カバンに押し込んだ。
どうしようかな、これ。
お父さんとお母さんにバレたら怒られる……。
そうしたらバクのお仕事に行かせてもらえないかも知れない。
そんな最悪な事態になったら泣いてしまうかも。
「決めた……このテストの存在は、初仕事が終わるまで隠し通す……!」
邪悪な思考を張り巡らせながら、アタシはその日の学校を終えた。



